
映画、見た。
原作を読んだ直後に奇跡的なタイミングで映画化の広告を見かけたとき「原作イメージそのまま!」と高まったのは西田敏行だが、そのままずるずると2年以上経ち、山田涼介目当てでDVDを見た。
以下ネタバレはなるべく控えましたが、まだ観ていなくてなるべくまっさらな状態で観たい方はご注意を。
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結論から言えば「山田涼介があまり映らない」以外は面白かった。
ストーリーは、ざっくりと、ナミヤ雑貨店を軸に時代を超えて手紙がやりとりされる話である。
「さっきそこの豪邸で強盗してきました」という現代の青年3人が、朝を待つ隠れ家としてナミヤ雑貨店(今は空き家となっている)を選んだのだが、なんやかんやあって、1980年代を生きる人々からの手紙、すなわち過去からの悩み相談へ答えていく。
悩みに答えていくうちに、時間のねじれ的な奇跡が起きたりラジバンダリ……という話だ。
ほっこり要素は映画でじゃぶじゃぶ味わえた。暁子さんとか原作であまり登場しないキャラクターの登場もあって、ほっこり感は映画版が好きだった。
ぎゃくにミステリ要素は原作のほうが分かりやすくて面白かった。原作を先に読んだから原作びいきになってるかもしれない。
ミステリ要素、映画は、ナミヤ雑貨店を中心とした時間のねじれ方が原作よりも難しくて「ん?」となった(多分原作とちょっと違う)。
でも気にしなくても楽しめた。
それはさておき。
いちばんの問題は中盤、山田涼介が30分以上映らなかったことだ。山田涼介目当てで観たのに。
そして山田涼介(敦也)のキャラクター描写が少ない。山田涼介目当てで観たのに。
山田涼介と西田敏行がパッケージに大きく掲げられているけど、ふたりはそんなに「主役」という感じでは映らなかった。
それぞれの相談者が悩みを解決するまでの連作短編……というストーリー重視な進み方だった。
もうちょっと欲しかった。もうちょっと山田涼介。
原作にある「手紙が過去から来たことをなかなか信じないシーン」をもっと観たかった。「そんなんじゃねぇって」と両手を広げて段差から飛び降りるシーンはごちそうさまでした。
あと今さっき公式サイトを見て、山田涼介はじめとする青年3人が19歳だったと知った。原作では20歳超えてたと思うけど、実名報道されない年齢にしたのだろうか。
ちなみにわたくし、ここまで色々偉そうに言っておいて山田涼介のファンでも何でもなく、彼が演技しているところを見るのはほとんど初めてに近い。
山田涼介に関してはたまにバラエティで観るよ、いいよね、という域内に綺麗にすっぽりおさまっているタイプの一般人である。
演技うまくてびっくりした。
ほかにこの映画で印象に残ったのは手紙だ。
この映画は手紙のやりとりがメインなのだが、みんな文章がうまい。プロい。
そりゃ東野圭吾とか脚本家とかプロが書いてるから当たり前なんだろうけど、一般人が書いたという設定でプロの文章力がガンガン殴ってくる感じ好きだった。あの文章力ほしい。
「手紙」なんて文字だけの伝達手段、文章だけの魅力だと思っていたけど、映画もよかった。その手紙だって時間の問題なのか原作よりかなり短くなっているのに、映像と合わせてめっちゃ分かりやすかった。
心の声で読み上げられない部分も、一時停止してチラッと映った手紙を凝視すると原作に書かれていた内容が書かれていたりして楽しかった。
「手紙」という魅力が、映像化されても全然死んでない。それがすごかった。むしろ原作よりも、映像が合わさることで「圧倒的な文章力」が緩和されて自然になっている感じすらある。
便箋のうつるシーンでは一時停止と巻き戻しを繰り返した。
山田涼介の出演シーンも少ないなら巻き戻して2回観れば出演時間2倍なので、リモコンを駆使した結果、ロクに使えなかったDVD用リモコンをだいぶ操作できるようになった。
ほかにもこまかい話だとナミヤさんの年齢が原作とちょっとだけ違って映画が公開されていた時の西田敏行の実年齢になっていたり、過去と繋がっている時は店の外観が若返って1980年になっていたり、そのへんの拘りもいいなぁと思った。
ラストは原作の感じが好きな人と映画の感じが好きな人と、好みが分かれるところかもしれない。個人的にはどっちも好きだった。原作も映画も後味がよくて、でもリアリティもある。
原作は原作でよかったけど、映画も映画でいいなぁと。
ドラマ『ブラックペアン』が放送されていたとき、原作小説とドラマの比較記事をいくつも書いたけども、映像作品って小説よりハッキリして分かりやすくなる気がする。
伝えられる情報量が映像作品のほうが少ないから曖昧さを出すのはむずかしくて、必然的にハッキリするのかもしれない。
曖昧なほうがリアリティはあるけど、ハッキリした方がわかりやすいし……。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』も原作のほうが曖昧だ。リアリティは増すので、興味ある方はぜひ原作も読んでほしい。
私は原作から入って映画を観て「おぉ、こうなるのかぁ、見たかったとこ見れたなぁ」と痒いところに手が届いたばかりで語彙が死んでるみたいな感想を抱いた。
映画のラストを見てから原作のラストを読むのもイイと思う。山田涼介(敦也)たちが強盗するまでの背景についても原作のほうが描かれているので、興味ある方はぜひ。
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というわけで「山田涼介があまり映らない」以外は面白かった、ストーリー重視で見るべき映画だと思う。
なるべくお金をかけずにDVDを観たい人はレンタルビデオ屋だと7泊108円だった。そして原作は図書館なら無料で2週間借りられる。
レンタル屋のDVDは綺麗だったけど、図書館の原作は「潔癖入ってたらきびしい感じ」だったのでご注意を。
そして私アマゾンプライムに入ってみたのだが、2019年6月24日現在だと『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は見放題に入っていなかったので、いちばん安くDVDを見られるのはレンタルビデオ屋だと思う。
レンタルビデオ屋って言い方古いのかな。