それも、平日午後5時(開店直後)のトイグループ系列店である。
メイド喫茶は基本的に「メイドさんと話す場所」ではない、と知ったのは、メイド喫茶めぐりを始めてからである。
それまで「メイド喫茶」と言われてまず思い浮かぶのは、メディアで取り上げられている「萌え萌えきゅん」な映像だった。
そういう映像はメイドさんが席でお客さんと話しているシーンを使っているから「メイド喫茶はメイドさんと萌え萌えきゅんな感じでおしゃべりする場所」というイメージを持っていたのだ。
しかし実際は違う。放置が多い。かなり多い。
「喫茶店」という前提を考えれば、あと払っているお金を考えれば当たり前といえば当たり前である。なのだが、個人的には頭の中で長年想像してきたメイド喫茶像とかけ離れていてちょっとショックだったのもまた事実だ。
特に人気で混んでいるお店だと、メイドさんたちは忙しい。普通の飲食店の店員さんのように食事を運んだり会計をしたりする仕事があったうえで時間があれば会話もしてくれる、というスタンスだ。
特定のお客さんと長時間おしゃべりすることは(よっぽどの常連客ならともかく)不可能である。
「雰囲気を楽しむ」くらいの気持ちじゃないとガッカリすることもある。
そんなメイド喫茶めぐりをしているなかで、私が「いちばん話せたな」と思うのはトイグループ系列店だ。
メイドさんいわく夜になると混んで来るのであまり話せないらしいが、平日午後5時(開店直後)のトイグループは強い。本当に強い。滞在時間中ずっとメイドさんが席の近くにいてくれた。
とはいえトイグループ系列店自体が総合的に見てメイド喫茶のなかで特別オススメかと言われるとそんなことはない。
やっぱり値段が高い(話す目的で行くなら1時間で予算3,000円弱くらい)からちょっと通うのは厳しいし、あと接客がメイドさんというより普通の女の子っぽいのでメイド喫茶らしい空気を求めて行ってもあかん。
そして私は、現在メイド喫茶を18店まわり「心の満たされ方は会話できた時間に比例するわけじゃない」と知った。
しかしそれでも、心の満たされ方や会話スキルはひとまず横へ置いて、とにかく長時間話せたのはトイグループ系列店である。
もちろん時間が長いだけでなく「この人接客上手い……」というメイドさんもいた。開店直後のほかのお客さんがいないフロアだと必然的にハーレムになってテンションも上がる。
もし「とにかく喋りたい」という人がいたら、一度平日開店直後のトイグループに訪れてみることをオススメする。