カフェだと集中できる、というアレ。

集中して作業のできる環境づくり。

大事である。私は「マジで本気でやらないと間に合わない」状況でないかぎり、たいてい集中できない。

できれば自発的に集中できるようになりたい。

そこで、カフェだと勉強がはかどる、という層が一定数いるのをご存知だろうか。

人の目がまったく無いと無限に漫画を読んでしまうとか、テスト期間になるまで認識すらしていなかったホコリが異常に神経を逆なでしてくるとか、そういう環境的な問題をまるごと解決してくれるのだろう。

私は思った。そうか、カフェかと。

しかし私は、経験がないので何とも言えないが、おそらくカフェだと集中できない。理由はひとつ。いろんな感情を抱えている人間が複数その場にいるのが苦手なのだ。周りの感情たちが気になって集中できない。

しかし、カフェの「人間」以外の要素は素晴らしい。イイ感じのBGMが流れているし、いつもより特別感のある味の濃いコーヒーが飲める。

自宅でカフェを再現してみることにした。これはひきこもり独特の生態だと思うのだが、とりあえずカフェへ行ってみるより前に、家にその環境を作り出そうとする。

ネットで見つけたBGMを流し、インスタントコーヒーを淹れた。

普段と変わらなかった。いつも音楽を流してコーヒーをがぶがぶ飲んでいる。

なぜカフェにならないんだろう、と考え、ほかの客がいないからだと気づいた。ほかの客がいないのでカフェにはならないが私は人間が苦手である。

ここで外へ走っていって近場の人間に事情を説明し、運よく通報されずに招き入れることができても、カフェっぽくはなるかもしれないが私が集中して作業できる空間にはならない。

無機物で代用することにした。

姉が彼氏からもらった歴代プレゼント、ダッ〇ィーとトト〇をテーブルの向いに座らせた。

笑いがこみあげて来た。ちょっとかわいい。ひとしきりニヤニヤした後今度は虚無になった。

姉はこの時どこにいたかというと洗面所で、洗面所にこもって前髪をいじり始めてから三年経過していた。

三年間姿を見せなかった姉が、リビング、もといお手製カフェへやって来た。

「見てカフェっぽくしてみた」

「カフュ(笑)」

姉の反応は以上だった。二秒後には真顔で「ねえ前髪どう」と聞いて来た。

私は「かわいい」と返した。

このたぐいの問いには、ほぼ脳へ映像を送ることなく、ただ視線を移動させたあと「かわいい」とあらかじめ録音しておいた音声を再生している。

姉はステージを変えて別の鏡でしばらく前髪をいじった後、ダッ〇ィーの首にリボンを巻いて去って行った。

私はおとなしく作業をはじめた。

……

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