太宰治の『グッド・バイ』を読んだ。未完の作品だ。
私は文学がまったく分からない。最近まで、難しすぎて日本語じゃないと思っていた。
しかし、文学を読んだら教養ある系の人間を気取れる気もしていた。「太宰は読みやすいよねぇ、初心者にオススメだよ」とか言ってみたい。
そんな下心がバイブス上げてきたとき見つけたのが、『コーヒーと小説』という本だ。短い文学作品が十編入っている。
全部読むだけの根性はないので、最初の作品『グッド・バイ』を読んでみた。
読んでみて、文学作品って、意外と萌えアニメ的な部分があるのかなと思った。
舞台は戦後三年の東京。主人公はイケメンの編集者、田島。十人ちかく愛人を囲っていて、妻子はまだ田舎に疎開中だ。
愛人たちは田島に妻子がいることは知っていて、田島から金銭的な援助を受けている。
田島が愛人たちと別れたいと思っているとき、年上の文士から「すごい美人に女房のふりをしてもらって愛人のもとへ連れて行けば、女たちは黙って引き下がるのでは?」と言われる。
そして田島は実際に美人を連れて愛人のもとへ訪れる。
ほうほうなるほど、エグい系ね、と読みすすめていた。
しかし。
美人を前にした愛人が、完敗を察して泣きそうな顔をする、という描写があった。
そこまで読んで、女ってこういうとき泣くかなぁ、と思った。
男性と一対一ならともかく、敵の女が目の前にいるとき健気に泣くなんて、そんな可愛らしい女はあんまりいないんじゃないだろうか。
ましてや妻子がいることはもともと知っているのだ。
理想像なのかな、と思った。
エンターテイメントというか、男性から見たらこういう時に泣く女が可愛いよねっていう。萌えアニメ的な。分かんないけども。
そういえば斉藤(女/六年来の友達/無表情)が一時期、「それ違うんじゃない、分かんないけど」というように「否定文+分かんないけど」な構文をよく使っていた。
それが無性に腹立たしかったのをいま思い出した。
そんなわけで私は女だから「えぇそんな女いるぅ?」と文学作品に文句をつけるが、少女漫画の総モテストーリーは現実にあってほしいと祈っている。
実に都合がいい。
イケメンで勉強も運動もできて性格もいい男子が、何につけても中の中な女を取り合うという話である。
実写映画化されるとしっかり美男美女になっているところが現実を物語っているのかもしれない。
明日から「太宰の『グッド・バイ』未完だけど面白いよ、読んでみ」と片方の眉毛をあげて友達にすすめてみるつもりだ。
すすめるための友達をアマゾンで注文しようと思う。
……
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