『検察側の罪人』の後悔。

映画『検察側の罪人』と小説『検察側の罪人』はストーリー展開が違った。結末も違う。

こまかいエピソードは色々と削られたり足されたりって感じなのだが、いちばん違うと思ったのは「後悔」というテーマだ。小説(原作)は、キャラクターひとりひとりが迷ったり後悔したり、後ろ向きのエネルギーと戦いながら生きている描写が強い。

映画より小説のほうがボリュームがあるから、描けることが多い。それは分かっていたのだが、映画でゴリゴリの人間味とか現実味を感じたあとだったので、正直原作がここまで面白いと思わなかった。

突然だが諸君は「いちばん後悔していることはなんですか」と聞かれたら何と答えるだろうか。

聞いておいてアレだが私のことを語らせてほしい。私は中学三年の時、ペットを亡くした。

亡くしたというか、私は、あの子が死んだ責任は自分にあるのではないかと思っている。それがいちばんの後悔だ。

「あの時、ああしていれば」という類いの後悔をずっと抱えている。もっと言えば、それが後悔であることを、大学四年になった今でもまだ認めきれていない。

後悔を後悔だと認めるのは苦しい。認めてしまえば、あの子が死んだのは自分のせいだと、自分の意志でその事実を背負って生きて行くことになる。それが怖い。

七年間考えつくしても「あの子を想って自分が責任を背負おう」と思い切ることもできない。それほど弱い自分も嫌になる。

そんな感じで過ごしているので、私の中で「後悔」っていうのは二つに分かれている。

ひとつは後悔が後悔であることを認めることさえつらいもの。もうひとつは「あの時ああすればよかったな」と落ち込んでも「忘れよう」と思えるもの。

私のなかではこの二つだが、現実世界には、後悔の種類がもうひとつあると思う。

「背負いたくない後悔だと分かっていても、自分から背負いにいくもの」である。

後悔すると分かっていてもやめられない。その原動力こそ、『検察側の罪人』でテーマになっている「正義」である。

小説は「正義ってなんだ」と突き詰めていった先のやるせなさが、た映画版のさらに上を行くエグさ。

映画では正義のために後悔とかむなしさを抱えるっていう部分までは描かれている。小説はさらに一歩踏み込んで、正義のために抱え込んだ後悔なのに、抱え込んでしまった後で「正義ってなんだ」と葛藤するところまで描かれる。

各方面にケンカを売りながら宣伝するとしたら『容疑者Xの献身』が好きな人は『検察側の罪人』も好きだと思う。

読み口も軽い。複雑な物語なのに「いまのなんで?」という部分もない。

そして映画版とあわせて、自分が抱えている後悔を、いちばん痛い部分を晒す勇気をくれた。

エグいミステリーなのに、不思議な勇気をもらえる作品だった。

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