映画上映の一時間前に起きた。

佐藤、八時半に起床。私は起きてすぐスマホを見る。

ツイッターをながめながら、この世界で最もムダな三十分を過ごすのが日課だ。しかし、この日の朝は違った。

「映画観に行こっかな」と思ったのだ。『検察側の罪人』を観たい。

サイトを見ると、上映時間は九時半だった。

え?くじはん?

映画ってそんな、始業時間みたいな時間からやっているものなんだろうか。びっくりである。

そして現在は八時半。一時間しかないが、十五分で家を出ればギリギリ間に合う。

そう思いながら朝ご飯を食べているうちに十分経った。あと五分しかない。

とはいえ身支度は五分で済む。Tシャツとジーパンと便所サンダルでいいから。不思議なことに、家を出たのは八時五十分を数分過ぎていた。

これは間に合いそうもない。やめておくか。家を出た瞬間にそう思った。しかしせっかく準備したし、駅まで行くだけ行ってみよう。散歩がてら駅まで行って、運よく間に合いそうなら電車に乗ろう。

そして私は全力でチャリを漕いだ。

漕ぎながら思った。百メートルを九.五八秒で走るボルトも、大事な用がある時は早めに家を出て歩くのかなぁ、と。

駅についた。間に合いそうだったので改札をくぐった。そこで、そういえば映画は本編の前に予告映像が流れるんだったなと思い出した。調べてみると、七分ほど流れる。つまり上映時間は、実質九時三十七分。

一気に希望が見えてきた。

電車を降り、映画館の入っている商業施設の前についた。この時点で九時三十分。ホームからの小走りプラス信号前ダッシュをキメてきたので息切れがすごい。

しかし間に合った。上映時間ジャストだが、チケット購入の時間を入れても、ギリギリ間に合うはず。

そこで私はとある異変に気づいた。自動ドアが開かないのだ。正面玄関が開かないはずはないだろう。

看板がひとつ立っていた。「十時までは東口をお使いください」。

ちっちゃい地図がついているので血眼で東口を探す。正面玄関とは正反対だった。遠い。

私はそのまま引き返して電車に乗った。ホームに着くと同時に電車が来たのが妙に腹立たしい。

待ってろ検察側の罪人。つぎは十二時からの上映で勝負だ。

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