就活はバンジージャンプくらい怖い。

大学4年生になって早3か月、週1登校の日々を送っている。

学費を紙飛行機にして飛ばし続ける毎日だ。比例して学力が落ちるのはもちろんのこと、体力もガンガン削られている。

これは自慢だが、私は大学生になってから一度も遅刻をしたことがない。

週1登校になれば授業の数が減る分、遅刻するリスクも減るのかと思えば、激増する。

というわけで全力疾走をする機会があった。大した距離ではない、50mほどだろう。

走り終えたあと「死ぬのかな」と思った。

内臓のかたちを認識するタイミングは生きていてもそれほど多くないと思うが、私は内臓が袋状であることをバッチリ確認した。

膨らまないのだ。

肺が、必要なところまで膨らんでいない。

痛いわ苦しいわで、遅刻を免れるつもりが、あとちょっとで一生登校できなくなるところだった。

「ふざけんじゃねぇよ」というのは肺のセリフである。猛ダッシュから2時間は違和感が消えなかった。

最近筋トレもしていたし、散歩もしていたから、意外と走れるんじゃないかと思った私が愚かだった。

しばらく全力疾走してないな、という人は、マジで5割くらいに抑えて走ったほうがいい。

このように私が「愚」を極めている間も、就活生はリクルートスーツをまとって炎天下を歩いている。

私はいままで、何を見ても、何かしらの物差しに当てはめて「羨ましい」or「見下す」だったのだが、就活生のことは依然として、見ないようにしている。

周りと同じレールに乗って走れる能力って評価されないけど、私にとって就活はバンジージャンプと同じくらい怖いものだ。

「バンジージャンプコワクナイヨ」と笑顔で励まされたって、ロイヤル・ゴージ・ブリッジ(321m)から飛び降りられる度胸は私にはなかった。

「飛ばないと殺す」と脅されても、「飛んだら飛んだで死ぬじゃん」と思ったのだ。

将来無職で餓死する可能性よりも、就活の圧迫面接で死ぬ確率のほうが高いと思った。文字にすると笑い話に見えるが、本気である。

だいたい、バンジージャンプは高所恐怖症と言えばそれで済むのに、もっと陰湿に面と向かって大人が怒鳴るような就活は全員やらなきゃ「人間じゃない」レベルの扱いだなんて、おかしくないだろうか。

と誰かに言う勇気もなく、就活生がアイデンティティや、時には自尊心まで削りながら戦っているフィールドから、私は逃げた。

逃げたかわりに、同級生がみな就活を終えても、私は就活というテーマに縛られつづけるんだと思う。

就活から逃げたことで失ったものはいくらでも挙げられる。安定した収入と保証、世間体、コミュニティ。

でも、就活から逃げて得られたものが何かと聞かれたら、命と時間、としか言えない。

とりあえず就活では死ななくて済んだ。けれどもこれから先は分からないし、金が尽きるうんぬんの前に、肺をもうちょっと柔軟にしておかないと物理的にもヤバイ。

私の人生は始まったばかり、と思っていた十年前のテンションが欲しい。

もうすぐ終わるかもしれねぇ。危機感をもって生きて行こう。

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ネタバレを予告映像レベルにして感想語った。「観に行こうか迷っててネタバレは嫌だけどどんな映画か気になる」って人向け。

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