ご存知、サッカーだ。真夜中に人の心を動かし多くの民を寝不足へといざなった。
時事ネタって初めて触れるのだが、前置きしておくと、私はサッカーのルールさえ「手で触ったらダメ」くらいしか知らない不届きものだ。
しかも、予選最後の試合、日本VSポーランドの、後半戦だけを見た。
もともと見るつもりはなかったのだ。
それが、父がテレビを見ていたので「あぁサッカーね」と数秒眺めたつもりが、正面に陣取って最後まで見てしまった。
数秒前まで”寝不足になってまでサッカー観戦する民”を鼻で笑っていたので、微妙に後ろめたい気持ちになりながら熱心に観戦するという、貴重な経験ができた。
ドラマ「ブラックペアン」が先週終わったので私が真剣にテレビを観ることはもう一生ないと思っていたのだが、結構真剣に観てしまった。
サッカーロシアW杯のブーイング、人間が本気で目標を持つと。
見はじめてほどなく、ポーランドがゴールを決めた。
そのあと点が入らず「負けちゃうのかぁ」とIQ-3みたいな感想を抱いていたのだが、そこで追加情報が入った。
別会場でやっている試合の点数がこのまま動かなければ、日本はイエローカードの数で有利だから決勝トーナメントへ行ける、と。
追加情報のあとすぐ、素人にも分かるくらい動きがなくなった。
無理に攻めてイエローカードを貰うより、パスを回して試合を動かさないまま時間を消費しようということらしい。
サッカーの事情をまったく知らないので「へー」としか思わなかったのだが、会場が異様な盛り上がりを見せた。
なんか合唱みたいになってるな。
と思ったら、ブーイングだった。
私は生まれてこのかた、ブーイングって低音なんだと思っていた。拍手喝采みたいなわりと高めの音程だった。
それはどうでもいい。
ブーイングの嵐の中、選手たちはパスを回し続けた。
私はスポーツをしたことも大勢の人間に注目されたこともないので、ブーイングのつらさがどんなものかは分からない。
が、今日ネットニュースを眺めていたら、最後のあのパス回しが賛否両論でかなりの物議をかもしているではないか。
流し読みしながら、自分自身のことを考えていた。
「やりたいこと」と、「やった方がいいこと」がズレることはよくある。
たぶん選手たちはゴールを決めてポーランドに勝ちたかったけれど、実力でそれはかなわず、決勝トーナメントへ進出するという一番優先順位の高い目標のために、最も可能性の高い手段を選んだんだろう。
攻めずにパス回しをする、というのはできれば避けたかっただろうが、決勝トーナメント進出のために”やらなければならない”ことだった。
どんな気持ちだったんだろう。
私は(最近は)毎日ブログを書くし、もともと書くことが好きなのだが、「何を書くか」とか、「どうやってブログでお金を稼ぐか」という問題は、日々つきまとう。
たとえば、ブラックペアンについて語る記事は、書きたくて書いているただのオタク語りだが、ドラマと原作の人気が高く、たくさんの人に読んでもらえた。嬉しかった。
しかし、ブログでお金を稼ぐためには、アフィリエイト(広告収入)のリンクも貼らなければいけない。
なんか嫌だなぁ、お金稼ぎに必死みたいで、がめつい感じするな。と思っていた。
できあがったブログが、「お金稼ぎ用のブログ」みたいな見た目で、本当にお金稼ぎ用のくせに、なんか気に入らなかった。
この状態で、いまだかつてスパムコメントしかついたことのない私のブログに誰かが初めてコメントをつけてくれたとしよう。
そこで「がめついな」と言われたら、精神がやばい。
たぶん、「どれだけ批判されても自分にはこの目標があるんで!」という高い目標を持ってる人って、少ないんじゃないだろうか。
実際のところ、私が一番重視しているのは”書くこと”なのか、”読まれること”なのか、”ブログでお金を稼ぐこと”なのか、自分でもよく分かっていない。
自分の目標を明確に定められていない人間も、日々生きているわけだが、ブーイングの中でもブレないほどのかたい目標を、いつかは持ってみたいものだ。
決して、ポリシーって言葉がかっこいいから一度は使ってみたいわけじゃない。